嘘つきヴァンパイア様
「って、ことで。俺達はここで続きをするから、お前ら先に屋敷に戻ってろ」
「え?ちょっと、く、呉羽?」
いい所で中断され、続きなど出来るわけがない。
冷静に考えれば、屋敷の外など、不謹慎すぎる。良い見世物だ。
そんな見世物になどなりたくなく、彼女が呉羽から離れようとするもの、思った以上に強く抱かれているせいで離れることが出来ない。
思わず、「離して」と、涼子がいいそうになった時、代弁するかのように「家来」達が腕を組み呉羽に近寄る。
「呉羽!ふざけるな!お前はまたそうやって仕事を我らに押し付ける気か!」
「…え?」
涼子から、無理やりに引き離し、背後から拘束するかのように腕を掴んだ。
その行動は、王に対する行動とはかけ離れている。
家来が王の腕を掴み、拘束するなど考えられない。
それに加え、「呉羽」と呼び捨てにし、言葉は敬語ではなかった。
人間界の遥か昔なら、即座に首が飛ぶだろう。呉羽は怒らないだろうか。
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