嘘つきヴァンパイア様
目を閉じ、そのようなことを思いだせば、脳内に浮かんだのは友人である楓の姿。
(楓…元気かな。私がいなくなって、心配してるよね。大切な友人だった。私の力を知っていても気持ちわるがらないで傍にいてくれた)
あの日から、涼子は人間界のことをあまり考えないようにしていた。
人間界に二度と帰れないとわかってから。さみしくなるのがわかっていたからだ。とくに、楓のことを思いだせば、何よりも泣きたくなるのが想像できた。
だが、思い出してしまうと、楓えの思いがあふれ、途端に二度と会えないのが寂しくなってくる。
「…楓」
(…会いたい……な)
そう、思うと視界が歪み、涙が頬をつたい、首に流れ、庭の芝生に落ちた。
それを拭くこともなく、ただ、流れるままにしていると、涼子の脚元に陰ができる。
レシィがもう戻ってきたのだろうか。はやいな。なんて思いながら、身体を起こすと見慣れない神様が目の前にいた。
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