嘘つきヴァンパイア様
「あ、ううん。用事って、ほどのことじゃないの。ただ、また記憶を見たから……呉羽に言いたくて。レシィが夜になってきたから、勉強はおしまいにして、良いって言ってくれたから」
「そうか。また、思い出したのか。で、今度はどんな記憶だったんだ?」
問われ、涼子は見た映像を思い出す。
「川沿いを、並んで歩いていたの。手を繋いで。何も話はしていなかったけど、なんか、幸せそうだった」
「そうか。俺も覚えてる。あれは、初めて手を繋いだ時だ。お前が恥ずかしくて黙りこむから
、俺だって何も言えなかった。だから、何も話してないんだよ」
「そう、なんだ」
そのような、事情があったのか。初めて、手を繋いだ。言われれば、そうなのかもしれない。
(…また、ひとつ。思い出せた)
安心し、胸を撫で下ろす。
すると、呉羽はみた記憶と同じように、指を絡ませ手を繋ぐ。
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