嘘つきヴァンパイア様
「失礼。失言でした」
「あぁ。あとから謝るなら、最初から言うな。いいか?言っておくが、俺はあの女に対して、利用するだけの価値しかない。少しの好意もないに等しい。それはカトレア様の生れ変りでも同じことだ。それに俺は……わかっているだろ?そんな感情を持っても、意味なんてないんだ。だから、安心しろ」
「呉羽様……そのような意味では……ただ、わたしは」
「もういい」と、ユノの言葉を手で制し、そのまま紅い色に染まる月を見上げる。
「それより、今夜……久しぶりに、雨が降りそうだな」
空には紅い色の月のほか、黒い雲が空を覆っている。
暗い冥界をさらに暗くさせ、周囲は暗黒に包まれそうな雰囲気だ。
まるで、その闇は呉羽の心と同じようだ。どこまでも暗く、先が見えない。わずかな光さえも飲み込んでしまいそうな、闇。
その不気味な空を呉羽は家来達が帰って来るまで、ただ……見つめていた。
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