嘘つきヴァンパイア様

「魂、でしか?」


「そう。本能的に、と、言うか…上手く言えないけど」


「カトレア様もお嫌いでしたので、そのせいでしね」


(カトレア…様?あれ、その名前…夢によく出てくる名前だ)


「レシィ?その名前の方は…知り合いなの?」


聞き返した質問に、彼女は無表情のまま顔をそらす。


そして何事も無かったかのように紅茶をつぎ、礼儀正しく頭を下げた。


「いえ。なんでもございません。それより、雨の夜は冷えますので、体調を崩さないようお気をつけくださいまし。では、わたくしは失礼いたしまし」


「え、ちょっと」


涼子の「待って」の言葉も聴かずに、レシィは素早く部屋を出て行ってしまった。


まるで、逃げるような態度。カトレアと思わず口にしてしまったレシィ。その人か神について触れられたくはない。それか、言えないのだろう。



.
< 259 / 475 >

この作品をシェア

pagetop