嘘つきヴァンパイア様
「魂、でしか?」
「そう。本能的に、と、言うか…上手く言えないけど」
「カトレア様もお嫌いでしたので、そのせいでしね」
(カトレア…様?あれ、その名前…夢によく出てくる名前だ)
「レシィ?その名前の方は…知り合いなの?」
聞き返した質問に、彼女は無表情のまま顔をそらす。
そして何事も無かったかのように紅茶をつぎ、礼儀正しく頭を下げた。
「いえ。なんでもございません。それより、雨の夜は冷えますので、体調を崩さないようお気をつけくださいまし。では、わたくしは失礼いたしまし」
「え、ちょっと」
涼子の「待って」の言葉も聴かずに、レシィは素早く部屋を出て行ってしまった。
まるで、逃げるような態度。カトレアと思わず口にしてしまったレシィ。その人か神について触れられたくはない。それか、言えないのだろう。
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