嘘つきヴァンパイア様
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「で、その男に運命を感じたと」
「だから、そうじゃないってば」
翌日、校内にあるエントランスで売店で買ったミルクティーを片手に楓と別れた後のことを話していた。何時もの定位置であるテーブルに腰を下ろしている。
「だって、以前会ったことがある気がするだなんて、運命を感じたって事でしょ?」
首をコクリと傾げ、長い髪の毛を背中に払いながら可愛く話す楓に思わずため息をはく。手にしていたミルクティーのカップを握りしめ俯いた。
「そうかもしれないけど、そうじゃなよ。ただ、変な映像を見たから気になって。あれば確実に過去だった。わたし、過去とかは見た事がないもん」
空になったミルクティーのパックを潰し、ポイッとゴミ箱に投げると上手くはいる。
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