嘘つきヴァンパイア様
「大丈夫だなんて、嘘をつかなくてもいいよ。身体は震えてるじゃないか。雷が嫌いなんだね。カトレアにそっくりだ」
「……え?」
カトレア。その名前に、離れようととしていたことを忘れ彼女は思わずギルドを見上げる。
その名前は、先程レシィも口にしていた名前であり、涼子の夢に出てくる名前。どうしてギルドもその名前を口にするのだろう。
胸の奥が疼き、嫌な予感が駆け巡る。
身体を震わせ、涼子はゆっくりと唇を動かす。
「だれ……ですか?その、カトレア……って、かたは」
「え?何を言っているんだい?カトレアはケイトの妻であり、君はその生まれ変わりじゃないか」
「………え」
なにを言われたのか涼子は理解が出来なかった。
(ケイトの妻?生まれ、変わり……?)
・