嘘つきヴァンパイア様




「あとの詳しいことは、そこで怖い顔をしている呉羽に聞くといい」


「………え?」


背後を指さされ、促されるように振り向くと怖い顔をした呉羽。


そして隣りにはランプを手に眼鏡をクイッと押し上げるユノの姿があった。


空を照らす雷の光を浴びる呉羽に無意識に恐怖を感じる。

息をゴクリと飲み込むと彼は涼子の腕を掴み、ギルドから引き離す。


力強い力に腕に痛みが走り、思わず涼子が眉を潜めればギルドは嘲笑う。



「はは。呉羽、実の兄に向かってその殺意はなんだい?安心するんだ。その薔薇にはなにもしていないから」

「それを判断するのは俺だ。それより、どうしてここにいる」


「どうして?用事があったからだよ。けど、来てみたら呉羽はいない。帰ろうとしたけど、この雨だ。雨宿りをさせてもらっていたんだ。そしたら、たまたま白い薔薇に出逢ったから、少し話をしていただけだよ」


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