嘘つきヴァンパイア様


首に手をまわし、必死に言えば呉羽はそのまま涼子の腕をとり、座りながら振り向く。


「知ってたさ。無論、記憶がなくなる前の涼子もそれを知っていた」


「そう……な、の?」


「そうだよ。だけど、黙っていた。すぐに話すと混乱するだろうと思って。それに、前にケイトの絵画に触れた時に気を失っただろ?生まれ変わりだと言うことを出すかもしれないって、俺は期待して待ってたんだ。だから、なにも言わなかった。まさか、こんな風にバラされるとは予想外だが」


涼子の腰に手をまわし、そのままギュウと彼女を抱く。腹部にあたる呉羽の顔。


あまり綺麗な腹部ではない。恥ずかしながらも、涼子は呉羽の頭を撫でる。柔らかい髪の感触がした。


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