嘘つきヴァンパイア様
「悪かったよ。どうせなら、俺の口から言えば良かった」
「ううん…そんなことない。そっか……わたしの前世は……神様だったんだ。全然、そんな感覚しない」
「未来が見えるだろ?あれは、カトレアの特殊能力だった。涼子は、それを受け継いでしまった。本来は、輪廻の輪を通ると力は消滅してしまう。だが、カトレアは力の強い神だった。だから、涼子は未来が見える」
それは、ギルドも言っていたことだ。
にわかにしんじがたいことも、呉羽から聞かされてしまっては信じざるをえない。
「そう、なんだね。名残りだったんだ。小さなころからだったから、どうして私だけって思っていたけど、そういう事だったんだ。それに、あの絵画のことも。触れたとき……何とも言えない感覚がしたの。それは、愛した神様だったからだったんだ。私の中に眠る彼女の思いだった、んだね」
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