嘘つきヴァンパイア様



「それより、16時から第3棟で講義だよ?」


エントランスの大きな古時計は15時を数分過ぎている。第3棟までは、本館から30分かかるから今からなら余裕で到着する距離だ。


「この講義終わったら土日だよ。楓はバイトあるの?」


椅子から立ち上がり涼子と同じように鞄を肩にかけると二人は同時に歩きだし、本館からでてすぐの横断歩道で止まる。


「それがバイトなんだよね。店長にヘルプ頼まれてさ。勉強熱心な学生に頼むなんてひどい話しよ」


「頼りにされてるんだって」



楓はなんでも出来る。それは凄いと見習おうと思ってる場所だ。


「頼りって言うか、いいパシりね。都合の良い女みたいな?


「ふふっ、そんなことないでしょー」


「あるのよこれが!あの店長マジ性格悪いんだから」


怒る楓に思わず苦笑いし、目の前の補助信号機をみる。

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