嘘つきヴァンパイア様


「その時の前王は厳しいかたでな、問答無用で冥界行きさ。仲間と離れて寂しいのと同時に王に逆恨みしちまって結構荒れた。城下の神と毎日のように喧嘩してたからな。おかげで城下の奴らからは嫌われて、孤独だった所に呉羽様が現われた」

手にしていたお酒を一気に飲み干し、大きく息を吐きながら空っぽになったコップにお酒を注ぐ。


「どうせまた、俺をどこかにやるか、屋敷の地下に閉じ込めるんだろうって、思ったが、呉羽様はちがった。なにをしたと思う?」


男の問いに涼子は首を振った。すると、男はまたお酒を飲み干し唇を拭う。


「俺の手を握って、自分を殴らせた」

「え!呉羽を殴ったってことですか?」


「そうだ。それで「お前が殴るのは俺で最後だ」っていったんだ。「手は誰かを傷つけるためにあるんじゃない。お前は今まで傷ついた者を助けてきただろう。その手でまた誰かを傷つけたいというのなら、俺を殴れ。冥界の者を傷つけるのは許さない。それはお前も含めてな」って」


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