嘘つきヴァンパイア様


「優しくなんかない。それは、勘違いだ」


「……え?」


なんだか、今日の呉羽は様子がおかしい。そう、涼子は思う。


いつもなら、『当たり前だろ』と、言ってもおかしくないのに、妙に弱気にみえる。


何かあったのだろうか。心配を胸に涼子は呉羽の片手を両手でつつみ、自分の頬にあてる。


ビクリと呉羽の手が震え、その瞳が涼子を捉えた。


「呉羽は、優しいよ。世界で……いっちばん」


「…だから……」


「優しいの。だって、記憶をなくした私の傍にいてくれるから。色々、教えてくれる。私を守ってくれるし、大事にしてくれる。人間界にいた時も、戸惑う私に真剣になってくれた。友達にもいいアドバイスしてくれたもん」



呉羽が与えてくれたやさしさは、数えきれない。


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