嘘つきヴァンパイア様
「だから呉羽は、優しいの。誰よりも、優しい王様だよ。そんな呉羽に出会えて……良かった。うまれてきてくれて、私と出会ってくれて……ありがとう。好き……だよ、呉羽。大好き」
初めまして、涼子は呉羽に好きと言った。これまで、言えなかった言葉だ。
記憶がなくて、呉羽に対する気持ちが涼子はよくわからなかったから。けど、同じ時間をすごし、彼女は呉羽のことを好きになってきた。
曲がることを知らない涼子の言葉に、呉羽は思い詰めた顔で涼子をみつめ、ふっと嘲笑う。
「やめろよ。そんな風に……俺の心の中に……入ってくるな……バカ」
小さな声で「ばか」と聞こえた瞬間、呉羽の唇が涼子の唇に触れた。
触れるだけの、優しいキス。
目を閉じれば再び唇がふれ、何回も触れるだけの、キスをした。
初めてだった。このようなキス。求められるようなキスとは違う。
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