嘘つきヴァンパイア様


「呉羽…ルカさん起きたみたいだね。せっかくだから、一緒に帰ろっか……って、あれ、呉羽?」


突き飛ばした呉羽を振り替えると、そこに呉羽の姿はない。

先程までいたのに、一瞬で消えたようにいないのだ。

ありえない現象に数回瞬きをすれば、「おい」と呉羽の声が池のほうから聞こえる。



涼子はいやな予感がした。まさか、突き飛ばした拍子に。


息を飲み込みながら、背後の池を見下ろすと、嫌な予感の通り、そこに呉羽はいた。


身体は胸したは全て池に飲み込まれ、腕を陸におき、頬杖をつにながら涼子をみている。


髪や頬から雫がつたっていて、とんでもないことをしてしまったのだ。


「あ……く、呉羽……!ご、ごめんなさいっ」


(わたしってば、なんてことを!)


呉羽に近付き、膝をつきしゃがみこむ。


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