嘘つきヴァンパイア様



***



その後、ルカ達と合流し屋敷に戻った。


一日動き回ったせいか、涼子は屋敷に戻るなり眠りについた。

それを見届けたあと、呉羽は部屋をでて屋敷の渡り廊下を歩く。


呉羽の足音が長いこと響き渡る。だが、暫くすると、足音は突然やんだ。


その原因は目の前で呉羽をにらみ、眼鏡を押し上げるユノ。


手に数札の本を手にし、呉羽の姿を足下から頭上までみるなり、呆れたようなため息とキツい言葉が降り注ぐ。


「呉羽様、わたくしの言いたいことはお分かりですよね?」


「さぁ、なんのことだ」


わざとらしい呉羽に、ユノはゴホンと咳払いをする。


「ふざけないでください。仮眠を取ると嘘をつき、城下まで花嫁の様子をみにいくなど、何を考えているのですか」


そう、呉羽は涼子の様子を見に行く際にユノに嘘をついていったのだ。


厳しいユノだ。偽造の花嫁のために、そこまでしなくてもと言われてしまうのがおちだったのだから。

「まったく、うるさいな。いいだろ。それに、城下にいったのは涼子に余計なことを言ってないかと思っての偵察だ。嬉しいことに、俺にとって、マイナスなことは言われてはいなかったよ」



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