嘘つきヴァンパイア様
壁に寄りかかり、ニコリと呉羽は笑う。
「そうですが。わかりました。ですが、次は嘘はやめてください。迷惑です」
「わかったよ」
「お願いいたします。で、話しは変わりますが、なんですか、その格好は」
ユノは呉羽の濡れた服と、マロン色の髪の毛をみる。
「久しぶりにみましたよ。その髪。幼きころから、その姿を隠していたのに、なんの心境の変化ですか?」
「……別に」
「涼子様になにか言われたのですか?」
なにも答えない呉羽。
そんな呉羽に、ユノは彼の肩をたたく。
「やめますか?彼女を騙すの。いまなら、引き返せます。騙されたことをかくし、ここに止めるのもいいかと」
「ふざけるな。いまさら、引き返すことなんて、できない。いや、しない」
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