嘘つきヴァンパイア様


綺麗なマロン色の髪の毛。呉羽は初めて涼子にその髪を見せた日から、このままでいるのだ。



最初は屋敷のものは驚いていた。もとに戻さないかと。との、言葉に戻さないと呉羽は言い張っている。



自惚れかもしれないが、涼子はそれが嬉しかったのだ。自分が好きだからと言ったから、そのままでいてくれているのかもしれないと。



本を胸にかかえ、ニヤリと口元を緩めると呉羽は涼子をみつめ、首を傾げる。


「なにを、笑っているんだよ」


「あ、ううん。なんでもない。あ、本ありがとう!仕事の邪魔になると悪いから、行くね」


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