嘘つきヴァンパイア様
部屋を出ようと、ドアに向かいドアノブに手を掛ける。
するとそのドアを押さえるように背後から呉羽の手が伸びてきた。
「もう、行くのか?もう少しいろよ」
「え?でも、呉羽の邪魔になるから。それに、レシィにもすぐ戻るって言っちゃったし……戻るよ。心配かけちゃうから」
「ほっとけばいいだろ」
そのようなわけにはいかない。散々、そのようなことで注意を受けているのだから。
身体を回転させ呉羽の方を振り向き、そっと胸をおす。
呉羽の手がドアから離れると不機嫌そうに口元を引き締めた。
「なんでだよ。なら、レシィに一言言って戻ってこいって」
涼子の顎を掴み、言い放つ呉羽に涼子は首を振り本で顔を隠す。
「それも、だめ。今日はレシィと勉強するの。それに、呉羽すぐに変なことするんだもん……
集中できないの。だから、だめ」
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