嘘つきヴァンパイア様


「好きなくせに、その変なこと」

「ま、また!とにかく絶対にだめ。呉羽は仕事に集中して、ユノさんにも怒られちゃうから」



「別に、あんな奴こわくない」


「そういう問題じゃないから!とにかく、戻ります!」


そう言い放ち、涼子は本を抱えながら、足早に執務室を出た。





***




呉羽の執務室を出たあと、本をかかえながら涼子は渡り廊下を歩いていた。

(はぁっ。全く、呉羽ってば…最近、以前にましてスキンシップが多くなってきたんだから)


いやなことではない。


だが好きだと核心してからは呉羽が近づく度に好きと言う思いが強くなっていく。



それに加え黒だった髪もマロン色にかわり、呉羽だが呉羽じゃないみたいでドキドキするのだ。




早くなれなければ。そう思い余計な残像を振り払い呉羽から借りた本を開く。


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