嘘つきヴァンパイア様



涼子の瞳に映る人影。黒い髪の毛にブラウンの瞳。独特で異質な雰囲気を待つ人。誰だなんて、すぐにわかった。


何故ならつい先ほどまでその人物の話をしていたから。そう、彼は昨日の彼だ。



向かいの横断歩道の先でポケットに手をいれながら涼子を瞬き一つせずに見てる。


「ん?涼子、どうしたの?」


思わず歩いていた脚を止める。立ち止まる涼子の方を振り返り楓は不思議そうにその先を見つめ首をかしげ振り返る。


「ちょっと、なに見てるの?早くしないと、赤になっちゃうよ?」


そんなことはわかっていた。だが、涼子の身体は金縛りにあったかのように動かない。


ピクリとも動かない涼子に楓が近づくと青い信号が点滅を繰り返す。



「大丈夫?もしかして、また見てるの?ほら、後で話は聞くから行くよ!赤になっちゃう」


グイッと腕を捕まれ、無理矢理引っ張られる。

「ほら!涼子ってば!」


重い体を引きずられれば完全に信号は赤にかわり、いまだ横断歩道にいる彼女達を車の運転手はイライラした様子で見ていた。



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