嘘つきヴァンパイア様


破片で切った場所を押さえ背後に隠す。すると、家来達は安堵の表情を浮かべ割れた花瓶を拾い始めた。


「いえ。このくらい拭けばなんとかなります。それより、お怪我はされませんでしたか?」

「だ、大丈夫よ」

「そうですか。では、我々が片付けておきます。新しい花瓶にいけお持ちしますので、お部屋にお戻りください」


家来たちの言葉に無言で頷き、即座に部屋に向かった。




***


部屋に向かう間、涼子は生きた心地がしなかった。



家来達が話していたことはどういうことなのか。事実なのか。そうではないのか。ただの聞き間違いではないのか。


そして、今みた残像のこと。ケイトと呼んだこと。呉羽に聞かなくては。聞くのは、怖い。

けれども、聞かなくてはいけない。そんな気がし、涼子は自分の部屋ではなく、呉羽の執務室にむかった。

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