嘘つきヴァンパイア様


いない事はわかっていた。朝はやくに外出してしまったのだから。

けれども、もしここで部屋に戻ってしまっては、聞くことは出来なくなる。

真実を知ってしまうのが怖いからだ。真実から逃げないためにも、気を重くしながら向かう。


(呉羽の執務室って、こんなに遠かったっけ)


渡り廊下はとても長く感じた。気が重いせいだろう。とても遠く、暗く感じて怖い道のりだった。


やっとのことで到着したころには、月は紅色をしていた。


月明かりを頼りに手探りでランプを探し当て、光を灯す。


テーブルや机には数冊の本と天界の文字で書かれた資料、ぐちゃぐちゃに丸められた紙が散乱していた。


(珍しい。散らかったままなんて)

呉羽が部屋を汚すとその傍でユノが片付ける。呉羽は片付けが苦手なのだ。



この部屋がいつも綺麗なのを保っているのはユノたちのお陰でもある。


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