嘘つきヴァンパイア様
「え、涼子?」
会いたくて、仕方が無かった呉羽が目の前にいる。いつもなら晴れる心は曇ったまま。
日記を見にくいように胸にかかえ涼子は俯く。
「あ、その……お、おかえり、なさい」
「あぁ、ただいま。もしかして帰ってくるの待っていたのか?」
「う、ん……まぁ」
「そうか。遅くなった。こっち来いよ」
手を広げる呉羽。抱きついてこいの合図。嬉しいはずなのに、涼子の胸は踊らない。
視線を反らしたままで「いや、その…」と、言葉を濁す涼子に呉羽は近づきその胸に抱きしめた。
「あれ?俺、嫌われるようなことしたか?いつもなら犬のように飛びついて来るくせに」
「あ、ううん。し、してないよ……ただ、その……」
「その、なに?」
背中に手を回し、苦しいくらいの抱擁に涼子は目を閉じる。
「なんでもない。長い時間待っていたから寂しかっただけ。見え張ったの。ごめんなさい」
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