嘘つきヴァンパイア様


日記を抱えながら片手で呉羽の袖を掴む。すると、呉羽が一瞬息を飲み込む。そして身体を離し涼子の顔を覗き込み驚いた。



「だからって、泣くな。帰ってきて早々泣かれたって、俺は意味がわからないぞ。なんで俺の顔を見ない?」

見たくないわけではない。見られないのだ。


見てしまえば、胸に掛かっている重い何かを呉羽に言ってしまう。

真実を知りたくて来たもの、新たな真実を知り怖くなっていた。


(私ってば、弱い。どうして呉羽を信じられないんだろう。好きなのに)


涙を流す涼子の気持ちなど呉羽にはわからないだろう。けれど、涙を零す涼子に呉羽は苦笑いしながらその涙を拭う。

その行為に身をまかせ、頬から呉羽の手が離れると涼子は呉羽を見上げる。



「ねぇ、呉羽?わたし、呉羽のこと信じていいんだよね?」

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