嘘つきヴァンパイア様


呉羽の身体に抱きつき、その手を握りしめ頬に寄せながらキスを落とす。

そんな予想外の返答に呉羽は少し驚いたように顔をしかめた。


「なんで謝る。お前……馬鹿だよ。こんなに俺のこと信じるなんて」


「そうかな。でも、呉羽のこと好きだから、信じるの。本当は言葉でこう言っていても不安だよ。だけど、信じなければ不安なまま。それなら、信じてみる。呉羽のこと大好きだから」


手を離ししがみつくように抱きつくと、呉羽はゆっくりと目を閉じ、数秒後にゆっくりと開く。


「ありがとう。じゃあ、涼子、仲直りの証に俺の部屋に行こうか」

「え?あ、いや」

涼子の「待って」の制止を完全に無視をして呉羽は部屋を出た。


(そ、そんな。でも、今さらだけど呉羽の部屋に行くのは初めてかも。今まで私の部屋を訪れることばかりだったから)


仕方がないか。と、諦め自らも歩く。

ちらりと横を見れば呉羽はとても機嫌がよさそうな表情。そんな顔をされては何も言えず静かに笑いながら言う。



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