嘘つきヴァンパイア様

「機嫌がよさそうだね」

「あぁ。今日はどうやって楽しもうかなって」



「ほ、ほどほどに、お願いします」


「たぶんな。それより、はなしは変わるけど、この手の傷どうしたんだ?」

涼子の反対の手に視線を送る。さすがだ。傷に気づいてしまうなど。


「ちょっと、ね。私がいけないの。不注意でお花をいけた花瓶、落としちゃって。ギルド様から頂いたの。薔薇とシレネの花束で……って、あ」


途中まで言いかけ、ことの重要さに気づき慌てて口を塞ぐ。


(しまった。これ、言っちゃいけないんだった)


聞くなり、動いていた脚をとめ口を開かずのままの呉羽。冷や汗が流れ、張り詰めた空気が流れる。


息を飲み込むのも苦しいほどの沈黙に涼子は呉羽を見上げる。すると、呉羽が涼子を見下ろし微笑んだ。


「そうか。気をつけろよ」


「え、あ、はい…?お、怒ってないの?」

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