嘘つきヴァンパイア様

***


呉羽達がやりとりをおこなっている時、涼子は夢から目をさました。

ぼんやりする目に映った光景は見慣れない部屋の天井。首を触ればわずかに汗が滲んでいる。


息を整え、起き上がれば、次第にはっきりと視界が開いていき、全く見たことのない部屋に涼子は思わず声をもらした。


「え、ここ、どこ?」

直径10メートルほどの円形の部屋で壁と壁はコンクリートに似た素材で出来ている。出窓があり、天井には花の形をしたシャンデリアがあった。


まるで、おとぎ話でお姫様を隔離するような部屋だ。涼子は座っている大きなベッドが余計にそう思わせる。


(それにしても、わたし、どうしてこんなところに?確か、呉羽の部屋にいて、寝ようとしたら、突然ギルド様が現われて…それから、それから……)



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