嘘つきヴァンパイア様
「え、彼?って、だれ?」
意味が分からない言葉に涼子の頭にハテナが浮かんだ。
誰のことを言っているのだろうか。人違いではないか。
彼と呼ばれる存在はいないし、もしや男友達だろうか。いや、男友達はいるが事故にあい直ぐに見舞にくるほどの仲の男友達など涼子にはいない。
なら、誰のことを言っているんだろうか。
「…まっ……いっか」
分からない、まぁ、来ればわかるか。
そんな楽天的なことを考え再びベッドに倒れ込もうと掛け布団を整えようと触った時だ。
コンコンコンと、ドアを三回叩く音が病室内に響いた。布団を整えていた手を止めてドアを見つめる。はい。と、返事をする前にドアが開きそのドアの前にいる人物に衝撃と驚きと同時に、胸がドキンッと高鳴った。
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