嘘つきヴァンパイア様


いや、そんなの涼子はわかっていた。呉羽のしてきたことが嘘。そのことを冷静に考えれば、合点がある。

記憶がないと言われた日、恋人だったはずの呉羽から抱きしめられても、涼子はなにも感じなかった。




それからの毎日も、涼子は不振に思うことばかりだった。



冥界に来て、抱かれた時、涼子は痛くてたまらなかったのを覚えている。

以前も抱かれたはずなのに「初めて」抱かれた気がしてならなかった。


だが、呉羽との記憶を思い出したと思った日から、それは薄れていったはずだった。



(本当に、呉羽は…嘘をついていたの?)


すっかり黙ってしまった涼子に、ギルドはため息をはく。立ち上がり涼子の肩にふれ、囁くように呟いた。


「そうだ。いい証拠があるんだ。頑固なきみも、これなら信じるさ。アル、出てきてもいいよ」

(……アル?)


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