嘘つきヴァンパイア様


「呉羽、が?」

「うん。まるでおもちゃを取り上げられた子供のように怒っている。ここからでも殺意が伝わってくる。アナ、外に案内して。あ、でも呉羽には会ってはいけないよ。アナの姿をみたら、何されるかわからないし」

「はい。承知いたしました。行きましょう、涼子……」

涼子に促され、二人は部屋をあとにした。







***

アナに案内され、ギルドの屋敷を出た。




暗い暗い密林を通り、方向など涼子には分からない。ただ、前を進むアナの背中だけを頼りに前に進んだ。


その間、会話はなかった。屋敷では会話できたが、二人になれば何を言っていいのかわからない。


久しぶりの友人との再会がまさか、このようなことになろうなど、予想もしていなかったのだから。


そして、どのくらいたった頃だろう、密林に僅かな月明かりが差し込んだころ、アナは足をとめ明後日の方向を指さした。



「あそこに行けば、下界を抜けるから。呉羽様にも会えるわ」



「…あ、うん……あの、かえ」


「何も言わないで。今は聞かれても答えられないの。……ごめんね。でも、事実から目をそむけないで欲しいの。そして、答えを出して。また、会いにいくから」


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