嘘つきヴァンパイア様
(やめてよ。そんな姿を晒しても、きてくれたんだって……勘違いしちゃうじゃん)
何も言わない涼子を呉羽は腕から解放し、その手を握った。少し冷たい手。夜の空気に冷やされたんだって、分かった。
「かえるぞ。レシィ達が心配している」
「……え?」
そう言ったきり、呉羽は手を握ったまま歩きだす。聞かないのだろうか。ギルドとなにかあったのか?と。
聞かれると思っていた。だが、そのようなこと、少しも話す気配はない。
(どう、して?聞かないの?もしかして、聞くまでもないってこと?)
「あの……呉羽……待って」
脚を止めれば、呉羽は涼子の方を振り向き、赤い瞳で見つめてくる。少し怖いその瞳を涼子は真っ直ぐみつめ言う。
「聞かないの?ギルド様と、なにがあったとか。前はあんなに聞いてきたのに」
「……あぁ」
「あぁ……って……気にならないの?」
(それとも、ギルド様との会話はすべて分かっているって、だから私が逃げないように…聞かないの?)
そっと呉羽の腕を引き離し、涼子は一歩下がる。
「呉羽、わたし……聞きたいことがあるの」
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