嘘つきヴァンパイア様

「ですが……このままでは…」

「大丈夫だよ…心配しないで」

横になったままそういうと、彼女は新しい食事をおき、数時間前に置いたものを片づける。

「…あの…」


「ん…なに?」

「…い…いえ」

(…?どうしたんだろう…いつもなら、すぐに退散するのに…)


重い身体を起こし、彼女を見上げるとわずかに顔を歪めた。そのまま涼子に背を向けると、そのまま口を開くことなく行ってしまった。


その姿を見送ると、涼子は置かれたお皿を遠くに追いやり、再び横になる。


(だめだ…身体が重い…いつまで、こんな場所にいるのかな…)


そうして、再び、涼子は目を閉じた。


それから、また数日が経過した。その頃にはもう、水すら口に出来ないほど衰弱して今にも命の灯火は消えそうなほど小さく、弱弱しかった。


それもそのはずだ。生まれ変わりだとしても、涼子は人間。このような場所で生きていけるわけがない。


そして、その日はまどろむ意識の中、前世の記憶をみた。そう、カトレアの記憶を…。

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