嘘つきヴァンパイア様
『…あら…いらっしゃい。未来のわたし』
『…え?』
誰に言っているのだろう。後ろを振り向いても誰もいない。もしや…
そっと、涼子が自身を指さすとカトレアは頷き微笑んだ。
『あ、あの…』
『囚われているのね。呉羽に』
『え…な、なんで…』
『見えるわ。あなたの未来が』
(あ…そっか。この方はわたしの前世…未来も見えるんだっけ…)
『あの…』
『こうなるって、私は分かっていたわ。これからケイトがなにをするか…その後の天界がどうなるか…そして、生まれ変わった私がどうなるのか』
『……』
『あなたは…もうじき知ることになる。悲しみに包まれた…彼が抱く闇を』
『闇…?』
『どうか…彼を止めて。私には出来なかった…彼を止めることが…』
『あの…どういう意味…ですか?』
『呉羽の目的は…冥界を滅ぼし、償いと再生を行うこと。そして…それを実行するには貴女の力が必要なの。誰より
も強い力を持って産まれた…私の生まれ変わりの貴女がね』
冥界を滅ぼす?償い?再生?
よく分からなかった。混乱する涼子を目前にカトレアはそっと口元に手をあてた。
『また…会いましょう?いまは…これだけ。呉羽を…とめて…』
『あ…ま、まって』
手を伸ばせば、目の前は真っ暗になった。その手がなにかを掴むことなく閉じ込められそっと目を開ければ…そこは牢獄の中だった。
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