嘘つきヴァンパイア様
「……ん」
(…あれ…)
思い身体をおこし、乱れた髪の毛を耳にかけると、見慣れてしまった冷たい壁。
「…ゆめ…か」
(なんか…とても、リアルな夢だった…どういう…こと…なんだろう…)
そう考えていると、ふと、背後に何かの気配を感じた。冷たく、恐怖を感じる視線。この視線は以前にも感じたことがあった。
身体が震えだし…ゆっくりと振り向けば…そこには呉羽がいた。
(…やっぱり…)
「呉羽…」
(何回も感じたこの視線は見えないところで私に敵意をむき出す呉羽のものだったんだ…)
視線を落とし、そのまま背中を向ければ呉羽は冷めた声色で言う。
「残念だな。泣きわめいているかと思ったのに…案外、平気そうだな」
「……」
「もう10日は経過している。なんて…もう時間の感覚なんてないか」
はは、と、声を出して笑う呉羽。その声を聴いていると、どうかしていると思った。
普通ならば、このような目に合わせた本人で恨み、憎むはずなのに…涼子にはそんな感情は一切浮かんではこない。憎しみや恨み、恐怖より…久しぶりに聞いた声が…とても愛しかった。
胸がぎゅうと締め付けられて、涙が零れた。
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