嘘つきヴァンパイア様
「それは出来ない」
「離してよ」
「駄目だな。俺はまだお前に用事があるんだから」
「なにそれ。涼子に電話だけするって約束じゃない!」
「そんな甘くないんだよ。なに、たいしたことじゃない」
もう片方の手で楓の肩を掴みそのまま顎を持ち上げた。
「やめて!いや!」
「大丈夫だよ。思っているような事はしない。たださ。少し眠っ貰おうかと思って」
「は?」
「涼子がいなくなるまで…お前には眠ってもらうよ。俺がいなくなってから、なにか妙なことされたら困るから。だからお休み」
「ちょっ」
その瞬間、呉羽の手が楓の額にふれる。楓の意識が遠のき身体の力が抜け落ちて鈍い音を立て床に倒れた。
「おやすみ、助かったよ」
これで、あの女を俺のものにできる。そう考えると、呉羽はその部屋をあとにした。
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