嘘つきヴァンパイア様
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その日の夜。朝とはうって代わり空からは雨が降っていた。
最近よくある、ゲリラ豪雨だろうか。大きな音を立てて降る雨の音は部屋中に響く。そんな音を聞きながら涼子は窓から外を眺めていた。
「凄い」
窓からは傘をさして必死に走る人。傘がないのか鞄を頭にタクシーに素早く乗り込むもの。諦めて雨宿りをする人など。
今日は家にいて正解だったかもしれない。
心の中で呟くと、キッチンの方からチンッとレンジの音が聞こえ涼子は慌ててキッチンに向かった。
「うん、いい感じかも」
レンジの中から出てきたのは紅茶のスコーン。なぜか突然と甘い物が食べたくなり彼女はスコーンを作った。
ふっくら膨れ、綺麗に焼きあがったスコーンはとても美味しそう。それを皿に盛り付けイチゴジャムを取りだしテーブルにおく。
「いただきまーす」
一人ぼっちの食事を取ろうと手を合わせれば同時に部屋にインターフォンの音が聞こえてきた。取ろうとした手を止めドアをみる。
"誰だろう"そんな独り言を呟きドアに近付けば人影があった。
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