嘘つきヴァンパイア様
時計の針は21時。珍らしい時間の客人に少し警戒しながら、モニターを覗けばドキッと胸が高鳴った。
「…あ」
その先には呉羽がいた。髪の毛を濡らし肩の服もこころなしか濡れている。
もしかして、この雨に濡れたのか。
そんな心配をしてしまい、躊躇いながらもドアを開ける。涼子の姿をみるなり呉羽はニコリと微笑んだ。
「どうも、急に雨にやられてさ…近くに涼子の家があるのを思い出して。ごめん、遅くに迷惑だったかな」
「…あ」
一瞬、彼女は迷った。こんな夜に男性を部屋に招いてもいいものかと。だけど、彼は自分の恋人。それなら、問題はないのかもしれない。
それに、話さなくてはいけないし。
「はい。大丈夫です」
小さく頷き呉羽を部屋にいれ入ったのを確認すると部屋の鍵を締める。
「雨、凄いですね。濡れてますけど大丈夫ですか?タオル、持ってきましょうか?」
リビングに入っていく呉羽の背中に声をかけると呉羽は苦笑いをした。
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