嘘つきヴァンパイア様
「私、頑張って思いだします。呉羽さんの事だけ忘れてしまい、ごめんなさい」
「もしかして、恋人だって認めてくれたのか?」
コクリと、無言の同意に呉羽は嬉しそうに涼子の額に口付ける。
「…っ」
「良かった。昨日はかなり絶望感に襲われたんだからな」
「はい。す、すみません」
「いいよ。それよりその敬語は禁止だ」
身体を僅かに離し、涼子の唇に人差し指をあてる。ひんやりとした冷たい指。少し熱い涼子の唇はそれをリアルに感じてしまい頬を赤らめた。
「呼び方も呉羽だからな。思いだすのはゆっくりでいいから、それは約束」
"いい?"と、顔を近づけられ、頷きながら顔を反らすと、それを制すように唇に唇が触れた。
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