嘘つきヴァンパイア様
「悪い、抑えられなかった」
はぁっ、と、肩で息をする涼子とは対照的に息一つ乱れてない呉羽。
「ねぇ、涼子」
必死に酸素を取り込む涼子。名を呼ばれ、返事も出来ぬまま首を傾げるとに呉羽は囁くように言う。
「今すぐ、めちゃくちゃに涼子の事抱きたい」
「え!?」
"抱きたい"その先の意味を理解した瞬間、更に顔を赤くし素早く首を左右にふった。
「そ、それは…ま、まだっ」
"恋人だったのだから、もちろん、そのようなことはしていたのかもしれない。
けれども、記憶がない。いきなり、そのような事は無理だ。そんな事を頭の中で繰り返せば呉羽は笑いながら涼子から離れた。
「ぷっ、はは!」
「…えっ?」
「分かってるよ。だから、必死に抑えてる。それは、もう少し経ってからのお楽しみだな」
「あ…うっ」
「覚悟しておけよ」
頭を撫でられ、その先の事を想像すると、パニックになりそうだ。彼女は慌てて落ちたタオルを拾い胸に抱く。
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