嘘つきヴァンパイア様


「お待ちしておりました。我が君」


「あぁ、門は、開いているのか?」


「はい。準備は、全て整っております」


変わらずの棒読みで、傘で池をさすと、そこには綺麗に月がうつっている。

「ユノのやつ、毎日、イライラしてただろ?俺が戻ってこないから」


「はい。口を開けば"呉羽様は、何をしているのだ"と、おっしゃっておりました」

「あいつらしい。まぁ、それも今日でわりだな」


レシィが呉羽の肩にいる、涼子を見つめる。


「眠らせたのですか?」


「あぁ、そのほうが、いいだろう。色々と」


「わたくしは、どちらでも。それより、呉羽様、お急ぎくだいまし。門が閉まってしまいます」



それを促すレシィに呉羽は"わかったよ"と、言い、勢いよく飛び込むと、レシィも傘を閉じ、その照らされた月の中に飛び込んだのであった。





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