嘘つきヴァンパイア様
特徴的なブラウンの瞳に耳には派手なリング状のピアス。
身にまとう衣服は和服のようだけれど、和服とはどこか違う。その中には奇抜な雰囲気をもち涼子がいる世界ではまず見る事のないような衣服だった。
その男性は、二人を交互にみると部屋に入り部屋のドアをしめる。
「…え?」
涼子にはその姿がどこか呉羽に似ていると思った。ブラウンの瞳ととても整った目鼻立ち。けれど、彼女の知っている呉羽は髪は長くない。
それに、衣服のせいだろうか。少し雰囲気も違い伺うように見つめているとレシィが彼に向かって頭を下げた。
「涼子様が先ほどお目覚めになりました」
「あぁ。そろそろ起きるかと思って様子を見に来たんだ」
「…え…」
発せられた声に彼女は聞き覚えがあった。
けれど、名前を呼ぶ勇気など込み上げて来ない。二人のやり取りを呆然と見ていれば男性は笑顔を浮かべながら涼子に近付きベッドに腰を降ろす。
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