嘘つきヴァンパイア様
ふわふわの寝具が僅かに沈む。
「おはよう。俺が誰だか分かるか?」
自分を指差し、問う彼に涼子は視線を反らし曖昧に首を傾げた。
「え…っと」
「呉羽だよ」
「くれ…は?」
やっぱり。と、彼女は思った。だから特別に驚くこともなくそのブラウンの瞳を見つめるとギュウと涼子の手を握る。
「まぁ、色々と理解出来ないことがあるだろうけど…きちんと説明するさ」
「…う、うん…」
「とりあえず、ここは俺の家。涼子が気を失ってから連れてきたんだよ」
公園で突然意識がなくなってからのことだろう。そこは覚えており涼子はうなずく。
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