嘘つきヴァンパイア様


「そう…だったんだ」


「そう。それで、起きる気配がなかったから寝かせた」


(そっか、だからここで眠っていたんだ)



「ごめんね。突然、倒れたみたいで。それにしても…此処が呉羽の家だなんて…素敵な部屋だね。お金持ちの人のお部屋みたい」


「そうか?気に入ってくれるならいいんだけど。それより、こっち」


手を伸ばし涼子の手を握るとを急速に引き寄せる。背中に手を回し、その存在を確かめるように力を込めた。


「…あ」

フワリと香る少し甘い香り。そして、頬をかすめる黒い髪の毛。ドキドキと聞こえる心音。


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