嘘つきヴァンパイア様


恐る恐る涼子も呉羽の背中に手を回し衣服を掴んだ。

指に触れ髪の毛。サラサラで、とても細い髪の毛。

(でも、どうして呉羽の髪はこんなにも長くなったのだろう)


ふと、そんな疑問が涼子には浮かんだ。

かつらとは思えない。エクステも違う。手に触れるコレは本物だと彼女は思う。


「あの…呉羽?」


そんな時、涼子の問いかけに呉羽は少し身体を離し覗きこむようにみる。

「なに?」

「変な事をきくけど…その髪の毛はどうしたの?それにその服装…」


ブラウンの瞳に涼子が映る。その瞳が僅かに細められると、また彼女の身体を抱きしめた。



「このことも、全く覚えないのか」


「…え?」


まだ、忘れていたことがあるの?そう、彼女がとうと呉羽は小さく頷いた。

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