嘘つきヴァンパイア様
「…え?」
ヴァンパイア。予想すらしなかった回答に彼女は視線を泳がせた。
「やだ、またそんな冗談言って。狼少年になっちゃうよ」
「本当だって。まぁ、そう簡単に信じてもらえるとは思ってない。記憶がある前だって、なかなか信じてもらえなかったしな」
「それを…言われると…そうだ。なら…なにか証拠は?」
「見た目。ヴァンパイアは色男って言うだろう?」
確かに、呉羽は綺麗だ。この世のモノとは思えないほど。だけれど…
「それだけじゃ、わからない」
「なら、血でも吸ってやろうか?」
涼子の手を取り、手の甲を撫で回され思わずその手を引いた。
「からかわないでよ」
「だって、それ以外なにがあるんだよ」
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