嘘つきヴァンパイア様
「わかった。半信半疑で…まだ、信じられない所はあるけれど呉羽を信じてみる。前の私が信じたんだもんね。それなら、私は私を信じる…」
彼女がそう言えば呉羽は満足したように頭を撫でた。
「涼子ならそう言うと思っていた。今は半信半疑でも、少しずつ信じてくれ」
「…はい」
「あぁ、それと…ヴァンパイアってさっき言ったけど実際は少し違う。ヴァンパイアって奴らの始祖が俺の祖先なんだ」
「そう、なの?そらなら、呉羽はヴァンパイアじゃなくて何者なの?」
「涼子の世界の言葉で言うなら神様だな。そこの詳しい説明はレシィに頼む」
呉羽がレシィを見るとレシィは無表情のまま涼子と呉羽をみる。
「わたくしがですか?」
「あぁ」
「分かりました。お任せ下さいまし」
レシィは彼女に頭をさげ涼子もまた彼女に頭を下げた。
波乱の生活の幕あけ。それを伝えるかのように外の月は不気味なオレンジ色の光を輝かせていたのだった。
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