黒水晶
マイは、悲しい気持ちで二人を見つめていた。
イサとヴォルグレイト。
二人は、同じ場所で生まれ育ったはずなのに、
共に国を想い守る立場にあるのに、
考え方がこんなにも大きくすれ違っていて。
それに加え、自国のために戦うエーテルの悔しげな表情を見ているのも、マイにとってはつらかった。
“エーテルは、あんなにこの国を……。
イサのことを、大切な仲間だと思っていた。
楽しく旅をして、互いのために協力しあう間柄だった。
なのに、ヴォルグレイト様を倒すために戦わなきゃいけないなんて、悲しすぎるよ……!”
ヴォルグレイトの放つ不気味な闇は早くもこの空間を覆(おお)いつくす。
もう、互いの顔がみえないくらい、真っ暗になってしまった。
ヴォルグレイトは野望に満ちた瞳で、気分高らかに黒水晶の出現を出迎えようとした。
「私がこの世界を変えてやる!
ルナがいて、誰も傷つくことのない平和な世界へ!
安らぎの地へ、皆を導いてみせる!!」