黒水晶

ヴォルグレイトは、泣きやまない息子の顔を見つめた。

“……イサ。ルナが亡くなった時も、お前はそうやって泣いていたな。

駄目な父親だったのに、そんなに想ってくれていたのか……?

私と向き合おうとしてくれたのは、お前だけだったな。

こんなに泣いてくれる息子がそばにいたのに、気付けなかった……。

それを教えようとしてくれたカーティスの言葉に、耳をかすどころか脅してしまった。

私は本当に、愚(おろ)かだったな……”


「カーティスと共に、お前が国王になる姿を見届けたかった……。

お前と一緒にこの国をもり立て、国民全員の顔に笑顔を咲かせたかった……」

「父さん……!」


数秒後、ヴォルグレイトは微笑したまま瞳を閉じ、その呼吸は完全に止まった。


「そんな……」

マイとリンネの頬も、びたびたに濡れている。


ヴォルグレイトは本日、ルーンティア共和国を裏切った罪で処刑された。

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