黒水晶
マイの希望に満ちた言の葉に、イサは改めて心を引き付けられた。
リンネとテグレンも、エーテルとマイの間で紡がれる絆に、前向きな感情を抱く。
問題は山積みだ。
マイの理想通りにはいかないかもしれない。
ヴォルグレイトが危惧(きぐ)していた通り、イサは厳しい立場に立たされるだろう。
最悪の場合、住む場所も与えられず、過酷な放浪生活を強いられるかもしれない。
ルーンティア共和国国王の命令によって処刑される可能性も濃厚だ。
ただ、ここにはイサの仲間がいる。
地位も年齢も国籍も違う、様々な顔ぶれだが、そういう壁を超えた友情で、みんなの心はつながっている。
悲観するのは、まだ早い。
全員が、悲しみからはい上がろうとした時だった。
「……ごめんね。
君達の美しい友情も、
ガーデット帝国の運命も、
終局を迎えてもらうことになる……!」
辺りに、見知らぬ男性の張りのある声が響いた。